21歳、大学生。社会的にも、体力的にもなんだって出来る。でも実際は、将来に対して悩んだり、日々悶々と暮らしている。尊敬する大人や同世代の人たちもこんな風に悩む事もあるんだろうか。会って実際に聞いてみよう。それくらいは一人で出来るはず。ひとりでできるもん。
「好きなことをやっていたら上手くいくさ」とは言えない
遠藤:中村さんの経歴だけを見ていると進学校からのエリートで、上り調子で来られている印象を受けていたのですが今のお話を聞いていると......。
中村:基本的には低空飛行です。別に「やったるで!」みたいなのもあんまり学生のときから無くて、将来こうするんだっていうのは皆無に等しかったし、典型的な飽食時代のモラトリアム子どもって感じだった。
今の仕事はたまたま良かったんだと思う。たまたま首の皮一枚繋がった。
遠藤:本当に「たまたま」だと思いますか? 自分の実力とは関係がないと思いますか?
中村:いや、今やってる事は俺に向いているなとは思うんだけど、大学のときにちょっと関わったことが、何かの拍子に仕事に繋がったのは完全に運だったと思う。たまたまここで電話かかって来たときに出て、行こうかなと思ったとかは運だと思う。
遠藤:運って中村さんにとって重要なテーマですよね。
中村:そう、だから学生さんに「好きなことをやっていたら上手くいくさ」とは言えないよ。結果的に上手くいってたら、「ぶらぶらしてて良かったね」って言えるけど、本当に「なんのものにもならなかったね」ってなるかも知れない。
ずっと中高から、いろんなタイプの奴らを見てるけど、すごく優秀で意識の高いやつでも、何かのきっかけでそんなに発揮できない場所にとどまってしまうこともある。「考えても仕方が無い運命」みたいなのがあって、たいした事なかった人がたまたまどっかで目覚めてバーンと行ったりするし。
遠藤:すべててが運ではないけど、考えてもどうにもならない部分が存在するということですか?
中村:最終的には、自分以外のことに委ねられるんだけど、確率を上げることは出来るよね。それはデザインに関しても言える事なんだけど、「この広告の企画は口コミでこんな風に広がって、こんな風に盛り上がるんですよ」って企画を立てても、シナリオ通り行く確率ってものすごく低い。感覚的には7割くらい上手くいくんじゃないかなってところまでは持って行けるんだ。
その7割に、もう1割追加されて、「まあまあだったね」って言われる場合と、3割上がって「大ヒットだったね」ってなるかは分からない。たまたますごく影響力がある人が見る場合もあるしね。
遠藤:7割まで持って行く事が大事という事ですね。
中村:7割まで作ったからこそ、残りの広がりがある訳で、元々作ったものが1とか2だとどうにもならないっていう意識が強い。
デザインでも人生設計でも、すべてのケースにおいて完璧に上手くいくだとかそういう事は難しい時代になっている。7割くらいをそこそこ確保しようとすると、具体的にいろいろやれるんじゃないかな。
遠藤:デザインしているときのイメージはどのようなものですか?
中村:デザインしてるときのイメージで言うと、すごく完璧な形の何かとか、ある100%のものに向かって詰めていく作業じゃなくて、こういうことがあるかもしれない、ああいうことがあるかも知れないといって確率を積み上げて行く作業なんだよね。
何か起こったらその何かに反応して化けるかも知れないみたいな発想のほうが今機能しやすいように思う。
遠藤:仕事と自主制作の作品は分けられていますか?
中村:分けないようにしています。仕事はクライアントさんからのお題があって、果たすべき約束があるんだけど、それを100%果たす事がゴールって考えるとつまんない事になっちゃうしね。
だから、大喜利のお題みたいな感じでそれをきっかけにアイデアをふくらますようなスタンスだと自分もクライアントも違う所に行ける。それで良いものが出来ればいいというスタンスでやってますね。
遠藤:今後もウェブの枠組みで仕事続けられるおつもりですか? それともウェブの枠組みから外れてもいいとお考えですか?
中村:僕は元々ウェブに捕われているつもりはないです、元を正すとアニメーションが好きなので、それに類する事なら大体なんでもやるよって感じです。
だから、「一回やってみる」ってのはありますね。やっぱり向いてなかったってことは多々ありますけど、新しいジャンルの仕事が来たら一回はやろうかなとは思っています。
遠藤:最後に学生に向けてメッセージを貰えませんか?
中村:一個あるとすると、どうしても今やってることの延長線上で人生考えがちだけど、そうじゃない道もありますよ。
たとえば、遠藤くんだとクリエイティブなことに興味があるかも知れないけど、実はものすごく為替をいじる才能があって将来ものすごいディーラーになるかもしれないじゃない。
おれも昔は50年も続くような橋とかを設計しようと思ってたんだけど、今はかなり瞬間的に消費されるものも作ってるしね。こういう道もあるよと言いたいです。
遠藤:ありがとうございました。
(第3回/おわり)











