竹田青嗣先生インタビュー - 哲学が世界を変える! - 6

多くの日本人は、激変する労働環境など、社会の急激な変化に戸惑っています。しかし、かつて学生運動が全盛だった時代とは異なり、現在の日本の若者は、社会運動にほとんど可能性を見ていません。これは、社会への関心を持っているにもかかわらず、わたしたちが、自分と社会のあいだに、明確なつながりを見出すことができないからではないか。このような状況の中で、これから、わたしたちは、自分と社会をつなぐ言葉をどのように編みあげていけばよいのでしょうか。

新しい世代は、社会思想にせよ、実存思想にせよ、これから拓くべき新しい領域の課題をもっている。

これまでの話を要約すると、一つは、社会批判の思想を根本的に考え直す必要があるということ。近代社会は、市民国家の原理と自由経済(資本主義)から成り立っている。いまの資本主義の最大の矛盾は、格差を拡大してゆく原理をもっているという点にある。格差が拡大するかぎり、どんな手だても、根本的には資本主義がさまざまな矛盾を拡大してゆく方向を変えられない。資本主義は格差を拡大するだけでなく、人口も拡大し、したがって資源もますます大量に消費して地球を蕩尽し尽くすようなサイクルの悪循環にはまっていきます。しかしそれでも、「人間的自由」の世紀をもういちど普遍支配の構造へ押し戻すのでないかぎり、近代市民国家と資本主義それ自身を廃棄することは不可能です。したがって、政治的には、いかに市民国家を早く成熟させて、国家間の覇権の原理を抑制していくか。経済的には、いかに格差が広がらないような合理的な経済システムの原理を作り出せるかということが最大の思想課題になるわけです。言いかえれば、十九世紀、二十世紀ずっと続いていた伝統的な社会批判の根拠を、根本的に刷新しなくてはいけない。新しい社会構想のない批判のための批判は、いまでは知識人の自己ロマンでしかないことをはっきり自覚する必要がある。

二つ目は、資本主義自体の批判ではなく資本主義の「正当性」の論理を作り出さないといけない。どのような資本主義なら、世界市民としての多くの人間が「正当」なものと認めざるをえないか。これは、近代哲学者が、どんな統治国家であれば自由な市民としての人間がそれを「正当」なものと見なしうるか、という線で考えたのと同じ本質をもっている。

三つ目は、新しい社会構想のアイディア、ビジョン。いま資本主義が作り出している世界の絶対的希少性とカタストロフィーの危機をどう回避できるか、というだけでなく、人間の生の未来をどのように構想できるか。これは人間の「精神」と「欲望」の本質から本質学として考えないといけない。「普遍消費」はとりあえず、万人に自由を解放するための必須の課題だけれど、生活水準がいくら上がっても、社会の競争システムの中で人間の欲望がたどる運命が問題だということです。社会の承認価値が一元化するのではなく、さまざまな「自由な承認ゲーム」が沸きたってくるような、つまり各人にとっての「活動」の領域が拡大していくような社会を形成するために、どういうプランがあるのか、そういう社会思想の必要性です。言いかえれば、社会思想と実存思想が結びあわなくてはいけない。

あえて四つ目を言うと、人間の存在や欲望の意味は、近代哲学では、ヘーゲル(※1)がはじめて、キルケゴール(※2)、ニーチェ(※3)、ハイデガー(※4)という実存思想の系譜でつないできた。そのあとサルトル(※5)、ポンティー(※6)、レヴィナス(※7)がいる。でも近代の実存思想は実質的にハイデガーがいちばん最後で、いちばん重要な原理を出したが、そのあと完全に停滞している。サルトルはハイデガーを焼き直し、レヴィナスはハイデガーの「形而上学」的弱点を見出していたけど、対抗思想になってしまって自分も形而上学化していると思います。これは今後の大きな課題です。

つまり新しい世代は、社会思想にせよ、実存思想にせよ、これから拓くべき新しい領域の課題をもっている。誰か志をもつ人は、さっきいったけど、近代哲学から徹底的に(もちろんプラトン(※8)、アリストテレス(※9)も)教養を積み直してやってほしい。アメリカとヨーロッパは、いま思想的には没落中だと思う。それにはいろんな理由があるけれど、とうぶんここからよいものは出てこないかもしれない。近代文学と現代文学の重量のようなものを比べてみると、私には圧倒的に近代文学に優れたものが多い。その中でもロシアの比重がすごい。ゴーゴリ(※10)、トルストイ(※11)、ドストエフスキー(※12)、チェーホフ(※13)ですね。なぜ近代からちょっとはずれたロシアから、あんなに優れたものが出てきたのか。思想も似ている。近代の王道からやはりちょっと遅れたドイツから、ヘーゲル、ニーチェ、マルクス(※14)、フロイト(※15)、フッサール(※16)、ヴェーバー(※17)など、圧倒的に優れた思想はほとんどここから出てきた。ひょっとしてこれと似たことが、日本でも起きないかな? まあ分からないけれど起こると楽しい(笑)。

まあ、そんなことで思想的には、若い世代がほんとうに哲学からしっかりやり直して勉強しなおせば、日本から新しいものが出てくる可能性があると思います。大事なのは、近代国家や資本主義の意味をもういちど根本的に確認しなおすこと。近代の意味もそうです。これまでの批判思想の前提に安易にのっからないで、何が人間にとっての根本的な生の条件なのか、その本質を見極めること。それがないと新しい社会構想は出てこない。若い世代の人たちに、時間をかけて徹底的にやってもらいたいと期待しています。

(おわり)

竹田 青嗣(たけだ せいじ)
1947年、大阪府に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。文芸評論家、哲学者。現在は、早稲田大学国際教養学部教授。主な著書に、『<在日>という根拠』(国文社)、『陽水の快楽』(ちくま文庫)、『現代思想の冒険』(ちくま学芸文庫)、『世界という背理』(講談社学術文庫)、『現象学入門』(NHKブックス)、『自分を知るための哲学入門』(ちくま学芸文庫)、『はじめての現象学』(海鳥社)、『ニーチェ入門』(ちくま新書)、『ハイデガー入門』(講談社選書メチエ)、『エロスの現象学』(海鳥社)、『恋愛というテクスト』(海鳥社)、『世界の「壊れ」を見る』(海鳥社)、『現代社会と「超越」』(海鳥社)、『プラトン入門』(ちくま新書)、『言語的思考へ』(径書房)、『哲学ってなんだ』(岩波ジュニア新書)、『現象学は「思考の原理」である』(ちくま新書)、『近代哲学再考』(径書房)、『人間的自由の条件』(講談社)、『人間の未来』(ちくま新書)、『中学生からの哲学「超」入門』(ちくまプリマー新書)、『完全解読 カント『純粋理性批判』』(講談社選書メチエ)、『恋愛論』(ちくま学芸文庫)、などがある。また、共著に、『二つの戦後から』(ちくま文庫)、『天皇の戦争責任』(径書房)、『完全解読 ヘーゲル『精神現象学』』(講談社選書メチエ)、『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』(講談社現代新書)、などがある。

竹田青嗣公式ホームページ
http://www.phenomenology-japan.com/takeda.htm

現象学研究会ホームページ
http://www.phenomenology-japan.com/

脚注

(※1)
ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル(1770年ー1831年)
ドイツのシュツットガルトに生まれる。ヘーゲルは、人間の欲望は、自我の欲望であり、そのため、人は、自己中心性を持つが、道徳や社会的規範など、自己の外からの要請や義務がなくても、自分の自己中心性を、社会へと開放していくことができる存在であると考えた。このように、ヘーゲルは、『精神現象学』で、人間が、自分の自由を自覚し、他者との「自由の相互承認」を実現していく過程を、明らかにした。『精神現象学』『法の哲学』
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(※2)
セーレン・オービエ・キルケゴール(1813年ー1855年)
デンマークのコペンハーゲンに生まれる。実存主義の創始者と呼ばれる。キルケゴールは、美的生と倫理的生のような対立する二つの価値の統一は、両者を概念で媒介することによっては決して成し遂げられることはなく、二者択一的に一方を選択する決断の中で、ひとりの「単独者」として神の前に立ち、神の愛を信じるという宗教的信仰の力に支えられることで、一度断念した価値を受けとりなおす、そのことによって可能になると考えた。抽象的な哲学体系を構築することは、人間に、「実存(このわたしの生の自覚的なひきうけ)する」ことを忘却させるとして、知性主義を批判した。『あれか、これか』『おそれとおののき』『反復』『哲学的断片』『不安の概念』『死に至る病』
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(※3)
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844年ー1900年)
プロイセン王国領プロヴィンツ・ザクセンに生まれる。キリスト教の思想が、その根底に「ルサンチマン」(弱者のうらみや反感)を持っていることを指摘し、ヨーロッパの道徳思想が、反動的なものであることを明らかにした。ニーチェは、自分の望むように生きることのできない人間が生み出すルサンチマンを克服するための「超人」思想を提唱した。『ツァラトゥストラ』『善悪の彼岸』『道徳の系譜』『力への意志』
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(※4)
マルティン・ハイデガー(1889年ー1976年)
ドイツ、バーデンのメスキルヒに生まれる。フッサールの「現象学」を受け継ぎ、『存在と時間』で、「現象学」の方法を実存論的に展開した。その後、「現象学」に対する考え方の違いから、フッサールと決別した。存在それ自体が何であるかを考究するには、まず、人間の存在のあり方を問う必要がある。そして、「現存在」(人間存在)の分析は、「現象学」によって可能になると考えた。フライブルク大学総長を辞して以後は、「実存思想」から「存在思想」へと転回した。『存在と時間』『「ヒューマニズム」について』『形而上学入門』『ニーチェ』
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(※5)
ジャン=ポール・サルトル(1905年ー1980年)
フランスのパリに生まれる。哲学者としてだけでなく、小説家、劇作家としても、人々に大きな影響を与えた。サルトルは、人間は、気がついたときには、すでに世界の中に投げ出されている存在であり、この世界で何かをなすことによって、自分が何であるかを決定していくような存在であると考えた。作られる前にすでに用途が決められているペーパーナイフのような道具とは、人間は異なる。神が存在していて、人間の本質をあらかじめ決定したうえで人間という存在を生みだすわけではない。サルトルは、このような人間の在り方を「実存は本質に先立つ」という言葉で表現した。『嘔吐』『存在と無』『実存主義とは何か』『弁証法的理性批判』
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(※6)
モーリス・メルロー=ポンティ(1908年ー1961年)
フランスの哲学者で現象学者。人間の身体性を、物質的な因果関係に還元するような機械論的な発想を批判した。ポンティは、身体を、物にも心にも還元できない両義的なものであり、心と身体の相互浸透的な構造であると考えた。『行動の構造』『知覚の現象学』
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(※7)
エマニュエル・レヴィナス(1906年ー1995年)
フランスの哲学者で現象学者。ユダヤ人。ハイデガーの「存在論」では、「現存在」(人間存在)は、「気遣い」によって、他者を含めた周りの世界を道具連関として自己化していくものと把握されているが、そうであれば、ここから、人間が自己中心性を克服して、他者と倫理的な関係を築いていくことは不可能になる。そのため、レヴィナスは、ハイデガーの「存在論」を批判し、「存在論」よりも「倫理」を上位におくべきだと考えた。『実存から実存者へ』『全体性と無限』
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(※8)
プラトン(紀元前427年ー紀元前347年)
アテナイに生まれる。「無知の知」を標榜し、魂への配慮が、他の何よりも重要であると説いたソクラテスから影響を受け、ソクラテスが主人公として登場する「対話篇」を著した。人間の魂は不死で、「美そのもの」や「善そのもの」を生まれる以前から知っており、外界のはたらきかけをきっかけに、それらを想起するという想起説を唱え、感覚の世界を超越した、「美」や「善」そのものであるイデアの存在を主張した。プラトンは、自然の世界に客観的な秩序が存在するのではなく、万物を秩序づけているのは人間の心の秩序であると考えた。『国家』で「哲人王」の思想に到達し、政治的権力と哲学的精神の一体化を主張した。哲学の研究と教育の場としてアカデメイアという学園を設立した。『ソクラテスの弁明』『クリトン』『ゴルギアス』『メノン』『饗宴』『国家』『パイドロス』『パイドン』
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(※9)
アリストテレス(紀元前384年ー紀元前322年)
マケドニアのスタゲイラに生まれる。アカデメイアに入門し、プラトンから影響を受けた。アリストテレスの業績は、文学、論理学、自然学、倫理学、政治学と、多方面にわたり、「万学の祖」と呼ばれる。アレクサンドロス大王の家庭教師としても知られる。アリストテレスは、プラトンが主張する、感覚的世界から独立して存在する永遠不変のイデアは、事物の生成変化を説明しないとして、イデア論を批判した。生成し、運動変化する自然(ピュシス)を分析するために、実体である自然物の生成の前後で変化するものを、形相(エイドス)、変化後も変わらず存続するものを、質料(ヒュレー)と呼び、物事の原因を、形相因、質料因、作用因、目的因の四つに分類した(四原因説)。また、「第一哲学」として、存在とは何かを考究する「存在論」と、数学や自然学とは別に、永遠不変で独立して存在するものについて哲学する「神学」を構想した。アテナイの地に、リュケイオンという学園を開設した。『自然学』『魂について(霊魂論)』『形而上学』『二コマコス倫理学』『政治学』『詩学』
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(※10)
ニコライ・ワシーリエヴィチ・ゴーゴリ(1809年ー1852年)
ウクライナのソロチンツィに生まれる。小説家で、劇作家。高校を卒業後、ロシアのペテルブルクで、長詩『ガンツ・キュヘリガルテン』を自費出版するが酷評され、失意のうちにドイツへ逃亡。その後、まもなく、ペテルブルクに戻り、職を転々とする。戯曲『検察官』が、官僚社会を風刺した作品として批判され、騒動から逃れるため、ローマへ逃亡。以後、残りの人生の大半を、外国で送る。ゴーゴリの作品は、ドストエフスキーをはじめ、ロシアの文学者に影響を与えた。『狂人日記』『鼻』『検察官』『外套』『死せる魂』
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(※11)
レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(1828年ー1910年)
ロシアの名門貴族の四男として生まれる。小説家で、思想家。ヤースナヤ・ポリャーナの地を相続し、地主となる。領地に、学校を開設し、教育者としても活動した。結婚後、幸せな家庭生活を送る中で、二大長編の『戦争と平和』と『アンナ・カレーニナ』を完成させるが、あいつぐ家族の不幸などで生への意欲を失い、精神の危機に直面した。民衆の生活の中に、彼らを支える神の存在を見出し、宗教的信仰の道に入る。国家と教会を、この世界の不正や悪に加担するものとして批判し、ロシア正教会から破門される。その後、家族とも対立し、家を出て、肺炎で死去した。トルストイの思想は、日本の白樺派を含め、世界中の文学者に影響を与えた。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『イワン・イリイチの死』『クロイツェル・ソナタ』『復活』
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(※12)
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(1821年ー1881年)
ロシアのモスクワに生まれる。小説家で、思想家。処女作の『貧しき人びと』が激賞され、「第二のゴーゴリ」と評される。空想的社会主義集団のペトラシェフスキーの会の活動に参加して逮捕され、処刑場で銃殺刑の執行寸前に特赦で赦され、シベリアに送られる。その時の経験をもとにして書いた『死の家の記録』や、肥大した自意識のため、孤独に苦しむ人間の『地下室の手記』、自らの観念的な思想にもとづき殺人を犯した人間が、他者への愛を契機に、「世界」を回復するまでの過程を描いた『罪と罰』を発表。『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』は、ドストエフスキーの五大長編と呼ばれ、日本を含め、世界中の文学者に影響を与えた。『貧しき人びと』『死の家の記録』『地下室の手記』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』

(※13)
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ(1860年ー1904年)
南ロシアのタガンローグに生まれる。小説家、劇作家で、医師。生活費を得るために、作家活動を始める。チェーホフは、当時、犯罪者の流刑地であったサハリン島を訪れ、その時の記録を『サハリン島』にまとめた。『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』は、チェーホフの四大戯曲と呼ばれ、理想や情熱を失い、日常の退屈さに耐えながら生きる人間の姿を描いた。『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』
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(※14)
カール・ハインリヒ・マルクス(1818年ー1883年)
プロイセン王国治下のモーゼル河畔、トリーアに生まれる。マルクスによると、人間は、私有財産制の社会における労働の過程で、労働生産物や人間から疎外される。人間が生み出した労働生産物と人間の関係が、人間の意志から独立し、それ自体の法則によって自律的に運動し、その中に人間を巻き込んでいく。その結果、人間と人間の関係は、物と物との関係によって支配される。労働者が、商品の再生産に必要な時間を超えて労働させられた結果生まれた剰余価値は、資本家によって搾取され、剰余価値を求める資本家同士の競争が激化し、労働者が機械にとってかわられるようになり、失業者が増大する。その結果、社会全体の購買力が低下し、需要と供給のバランスが崩れ、恐慌が起こり、資本主義のシステムは、プロレタリアート(労働者階級)による革命で崩壊し、共産主義へ移行すると考えた。『ユダヤ人問題によせて』『ヘーゲル法哲学批判序説』『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』『共産党宣言』『経済学批判』『資本論』
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(※15)
ジークムント・フロイト(1856年ー1939年)
オーストリア帝国モラヴィアのフライベルクに生まれる。神経症の治療の経験から、自我、エス、超自我という三つの要素から構成される人間の心のモデルを構築した。このモデルで、自我、超自我、抑圧されたものは、それぞれ、無意識であるエスと合流しており、エスや超自我によって、自我は、責められ、弱い立場にある。フロイトは、人間の内側からの避けられない刺激を、欲動と呼び、人間のエスの中には、性欲動であるエロスと、死の欲動であるタナトスという二種類の力が存在すると考えた。人間の社会的な人格は、エディプス・コンプレックスの生成と崩壊によって、形成される。フロイトの精神分析の理論は、人間が、世界の主人などでは決してなく、自分でコントロールすることのできない無意識の衝動におびやかされながら生きている、生物の一種にすぎないということを明らかにした。『夢判断』『トーテムとタブー』『ナルシシズム入門』『精神分析入門』『快感原則の彼岸』『自我とエス』『幻想の未来』『モーゼと一神教』
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(※16)
エトムント・グスタフ・アルブレヒト・フッサール(1859年ー1938年)
オーストリア帝国プロスニッツに生まれる。ユダヤ人。「現象学」の創始者である。方法的に独我論を徹底することによって、世界は、客観的なそれ自身の存在や意味を持つものではなく、世界を認識している主観にとっての、その都度の意味を持ったものとして存在することを明らかにし、真理問題を、信念対立の調停の問題へと編みなおした。『現象学の理念』『デカルト的省察』『イデーン』『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』
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(※17)
マックス・ヴェーバー(1864年ー1920年)
ドイツのエアフルトに生まれる。学問分野としての社会学の創始者の一人。カルヴィニズムの二重予定説では、誰が救われ誰が滅びるかは、神によってすでに予定されており、この神の決定は、人間の善行や信仰で変えることはできず、神の意志は人間には明らかにされない。このことは、個人の内面的な孤立を招き、その結果、神の命である職業労働が、信徒にとって、自分が救いの地位にあることの確証を得る場となり、信徒は、神の道具として、労働に駆り立てられることになる。このように、ヴェーバーは、プロテスタンティズムの倫理が、「意図せざる結果」として、「資本主義の精神」を準備したと考えた。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
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更新日
2010年09月10日
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竹田青嗣先生インタビュー
EDITOR
柳井

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